故・長岡鉄男氏の呼び掛けにより発足したオーディオサークル『ミューズの方舟』が毎年末に主催する恒例行事「自作スピーカーコンテスト(旧称『サウンドフェスティバル』」が、今年も東京の品川区で行われました。
今年のテーマ(課題)は「Scansperk 5F/8422T01 または 5F/8422T03(Stereo誌2013年8月号付録、オントモ・ヴィレッジ取扱商品)一発」で、応募作品は11作。来場者には事前に投票用紙を渡され、この中から「音質」「アイディア」「ルックス」の3項目で1作品のみ自分がよいと思う作品に投票するというシステムが採られています。そして、前述の3項目を合計した「総得点」も表彰の対象とし、合計4部門での賞レースとなります。
内野幸次氏作『KIKKOMAN』
形が某社のロゴに似ていたというところからその名が付けられたという六角形のダブルバスレフ。その形ゆえに斜めカットの回数が増えてカット代がかかったという創作秘話も。
八杉幸浩氏作『LEGO スピーカー39号機』
本コンテストのダークホースともいうべき、LEGOで作られたバックロードホーン。玩具でありながら「硬くて丈夫で鳴きにくい」という特性を備えていると八杉氏は語る。
太田博之氏作『BLANDA MATT(ブレンダマット)』
IKEAの食器(サービングボウル)を球体ボックスとして利用したパッシブラジエーター方式のスピーカー。スタンドには100円ショップのブックエンドを加工。
鈴木智彦氏作『S-066 サムシング』
バックロードでもなく、単なる共鳴管でもなく、TQWTでもバスレフでもない方式の新しい『何か』。「多段共鳴菅」「PST回路」「ひのき材」を搭載した、独自性あふれる力作。
>製作記 「趣味の小部屋 (AudiFill公式ブログ)」
後藤誠人氏作『普通のスパイラルホーン』
壁掛けを前提として作ったという奥行き55mmのスリムなスパイラルホーン。多様な音楽に対応するべく、設計図は基本に忠実な形。「普通の」シリーズ最新作。
白須俊明氏作『アルプス』
知らない人が見たらとてもスピーカーだとは思えないような強烈なルックスと、型破りな構造のバックロード・ホーン。あえて付録ではないユニットで勝負したとのことだが、果たして…!?
倉橋岳彦氏作『ジ~サーク 5』
正五角柱の形をしたバスレフ式。製品のような非常に緻密な仕上がりに「どうやって作ったの?」「本職は職人ですか?」などと多くの人が感心しきり。
田中博志氏作『ラミ壱号』
バッフルとリアバッフルには8mmのアクリル板を使用。シナアピトン合板と組み合わせることで、鳴きを感じない造りに。ダクトにはスパイラルダクトを採用。
内田篤志氏作『FLAT-5』
過去に本コンテストで受賞した「アイディア賞」「ルックス賞」に続く受賞が期待される、両チャンネルサブロク一枚で挑むM字型屏風スタイルの平面バッフルシステム。
谷本裕昭氏作『ポリカスケルトンBSP-2017』
バッフル板を振動しやすい構造を採用した後面解放スピーカーシステム。厚さ1mmのポリカーボネイト板を加工して、低域再生と音場再現を狙う。
上條雄二氏作『ウェーブバスレフ』
ユニットの特性から0.4mmのクラフト紙をウェーブ状の湾曲で振動させることを導き出し、長さや角度に至るまで計算した上で制作された理論派バスレフ。金色に仕上げられたルックスも目を引く。
この中から、来場者が「音質」「アイディア」「ルックス」のそれぞれの分野で、一作品につき一票を投票します(重複投票不可)。さらに、それらを合計した「総得点」の多かった人が表彰されます。
「音質」だけはその場にいないと判断できないですが、どの作品が「アイディア」「ルックス」を受賞したと思いますか?是非このブログをご覧のみなさんも写真をもとに一緒に考えてみてください!!
ではどうぞ!
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考えましたか?あ、まだですか?ではもう少し。
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そろそろどうでしょうか?
えっ、写真が悪すぎて「ルックス」が良く分からない?
それは私の写真を撮る腕が絶望的に悪いだけなので、ご容赦ください。。。
実物は素晴らしいものばかりです。
では、結果です!
ジャン♪
「音質」田中博志氏作『ラミ壱号』 「アイディア」八杉幸浩氏作『LEGO スピーカー39号機』 「ルックス」白須俊明氏『アルプス』
そして、総得点での受賞は「アイディア」で稼いだ八杉幸浩氏作の『LEGO スピーカー39号機』となりました!
衝撃的な結果でしたが、たかがLEGO、されどLEGO。玩具として見落とされがちな素材に着目し、それをオーディオファンの鑑賞の耳に耐えうるレベルまで引き上げたその努力が評価されたのでしょう。八杉さん、「アイディア」「総得点」の二冠、おめでとうございます。
最後に、作者による記念撮影。いずれもレベルの高い、素晴らしい作品ばかりでした。また来年の開催にもご期待ください!
>ミューズの方舟のサイトはこちら
※ここに紹介したイベントは「ミューズの方舟」主催の自作スピーカーコンテストです。音楽之友社主催の自作スピーカーコンテストは、来たる12月16日(土)に神楽坂「音楽の友ホール」にて行われます。