stereo12月号「音の見える部屋オーディオと在る人」

12月号

今月の人:緋山朋彦さん

「部屋の向こう正面は、隅から隅までガラスがはめ込まれている。8階のマンションからは一望のもとに景色を見渡すことができた。
 東京湾とつながる京浜運河が手前に流れ、白い船がのどかに浮かんでいる。その向こうの首都高速を車やバスが疾走し、羽田空港につながるモノレールも通り過ぎていく。遠くに見えるのが高層ビル。その背後にひたすら広がる青空。東京の空は狭いようでまだまだ広い。
「都会の喧噪を寝っ転がって見ながら音楽を聴くのもいいものですよ」
 緋山朋彦さんは37歳とまだ若い。ウォーターフロントの一等地マンションでそんなことを言われようものなら、多少なりとも妬み心がむっくり持ち上がるものだが、まったくイヤな感じがしなかった。とても真っ直ぐな人だった。…」

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