「私は、音の通訳者。」シンガーソングライターとして、ラジオパーソナリティとしてマルチに活躍するLOVEさんが語る「ラジオ愛」

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7月号

関東近郊にお住まいの方にはおなじみの大人気FM放送局 Tokyo FM(周波数80.0)で、毎週月~水の 11:30~13:00 の時間に「ALL-TIME BEST~LUNCH TIME POWER MUSIC~(以下ALL-TIME BEST)を担当しているシンガーソングライターのLOVEさん。番組スタートから変わらず生放送で、お昼の時間帯に軽妙なトークと素敵な音楽をお届けしている。

シンガーソングライターとしても今年15年を迎える彼女にとって、ラジオとはどういう存在なのだろうか。ミュージシャンならではの音のこだわりや聴こえ方といったものはあるのだろうか。彼女とラジオとの関係について訊いてみた。

取材・文:編集部 写真:高橋慎一(アーティスト写真・ジャケ写を除く)
※このインタビュー記事は、stereo 2022年7月号に掲載された、ページ数の都合でやむなくカットした部分を含む「完全版」です。


――ラジオのお仕事はだいぶ長いようですね。

LOVE:2010年の4月からLOVE CONNECTIONというレギュラー番組を持たせていただいて以来、今もTokyo FMALL-TIME BESTという番組を担当していますが、気が付けば12年もレギュラー番組を続けていることになります。ここまで続けられているのも、支えてくださっているリスナーやスタッフのみなさんのお蔭ですね。

――ラジオのお仕事をするきっかけは何だったのでしょうか?

LOVE:「LOVE CONNECTION」を担当する以前にも、アシスタントとしてラジオの仕事には関わらせていただいていました。DREAMS COME TRUE中村正人さんが当時パーソナリティを務めていた番組があったのですが、デビューしたレーベルが同じだった縁もあって、正人さんから「よしっ! LOVEちゃん、アシスタントよろしく!」とご指名を受けましてですね……。文化人や著名な方を多くお迎えすることが多い中で、無我夢中で右往左往する日々でした。そのうち「この子はパーソナリティとしてもいけるんじゃないか」ということになったらしく、今思えばとてもありがたいお話なんですけど……、いきなり4~5時間くらいのホリデースペシャルの番組パーソナリティに任命されてしまったんです! 生放送です。飛び交う専門用語も分かっておりません! こんなに長い時間ずっと緊張が解けないなんて、なかなかないですよね。無事になんとか終わらせた後、大泣きです。もう二度とするもんか~! なんて感じで(笑)。

――そんなエピソードがあったんですね! そこから10年以上、生番組が続いているということですが、生番組ならではのエピソードや、印象に残っていることはありますか?

LOVE:いろいろありますよね。曲の途中でCDが飛んでしまうとか。私はCD世代ですし、CD大好き人間でもありますから、そういうのもまあ魅力のうちだとは思っているんですけど、名バラードをかけてる途中でそういうことが起きると、「あ~、いいとこだったのに~」って、やっぱりちょっとショックですよね(笑)。

それとか、曲を出し間違えたり、放送途中で地震が来たりとかというのは生放送ならではと言えるかな。それでも、何が起きても安定しているというのもクォリティのうちなんだ、それがラジオなんだと最近思うようになりました。

――ラジオには昔から興味をお持ちだったんですか?

LOVE:私が生まれ育った大阪ではFM放送が街にとても浸透していて、私もラジオっ子だったのでよく聴いていました。ですけど、自分がラジオパーソナリティになるなんて夢にも思っていなかったですね。ミュージシャンとしてラジオに出演したのはバンドデビューした18歳の頃からで、そのときにラジオパーソナリティの方々からいろいろとインタビューを受けました。そのときに感じたことがあるんです。ミュージシャンにとってラジオパーソナリティって、すっごくありがたい存在だなと。そのパーソナリティが「こんなふうに感じたよ!」と本心でトークをしてくれたときに、作り手として説明するよりもはるかに曲のことがよく伝わったりとか、リスナーさんのメールを読んでくれるだけで何の曲紹介も必要なくなったりということがあるんですね。その経験があるからこそ、私もアーティストをお迎えするときには、本人が言ってほしいことやプロモーションのポイントはここだなということを意識してトークをするようにしています。

――いま担当されている「ALL-TIME BEST」は、お昼の時間帯ですよね。その時間の生放送で心がけていることは?

LOVE:最近はリモートワークなどの影響で、より幅広い世代が聴いてくださっていると感じています。たとえば、子育てをしているお父さんお母さんから在宅勤務の働き盛りの会社員の方、あるいは自営でお店をやっている方などなど……。年齢も職業も環境も状況も違う人たちが聴いてくださっているので、まさに番組名の通り「ALL-TIME BEST」、すべての世代に受け入れられるように新旧問わないベストな曲を通して楽しんでもらいたいと思っています。 

でも、心の片隅で思っているのが、子どもたちのこと。本来休みでなければ、学校に行っている時間ですよね、もし、昼間のラジオを聴いている高校生以下の子がいたとしたら、なんらかの事情で学校に行けていないということ。そんな子どもたちが多感なときに音楽に対して間口を広くもってもらうためにも、「なんだか大人が楽しくワイワイやってるなぁ」なんて楽しんでもらえたら嬉しいですね。

――リスナーからの反応やリクエストなどはリアルタイムで返ってくると思いますが、そういったさまざまな年代の方からのメッセージをいただくことは大変ではないですか?

LOVE:そうですね、この前ちょっとおもしろいなと思ったのが、「サブスク時代になって、若い人たちはギターソロを飛ばして曲を聴く」ということがTwitterのトレンドになっていたことがあったんです。それで、あ、これおもしろいから「あえてギターソロがたくさんある曲をかけてみよう!」という試みをしてみたんですね。そしたら、往年の真面目な音楽愛好家のリスナーから「ギターソロを飛ばして聴くは何事だ!」というメッセージを、それはそれはたくさんいただいてしまいまして(笑)。

――やっぱりジェネレーションによって音楽の聴き方が違うということなんですね。

そうなんです。確かにその世代のギターソロは素晴らしいし、異論はないんだけど、いまこの時代のサブスクというのはこういうことなんだよっていうのは伝えたかったですね。逆に言うと、サブスク世代の人たちはどの年代の曲であろうと触れることができれば新譜じゃなくても聴くんですよね。そういう人たちってむしろ何の隔たりもなく音楽を聴いてくれるわけで、その子たちにとって「このギターソロってカッコいいよねー!」という気づきになってくれたらOKかなと思っています。

新譜も往年のロックも、デジタルな音楽からアナログなものまでグッシャグシャに選曲されるので、言うなればそれこそ自分が父の影響で聴いていたオールディーズと、最近のミックスとが並んでかかることの面白さ。この世代を超える化学反応を楽しんでもらいたいですね。

――お昼の時間の音楽番組というところで、「音質にこだわってます!」とか、そういったものあるのでしょうか。

LOVE:別番組ですけれど、山下達郎さんのラジオはすべての曲をマスタリングしなおしてかけていらっしゃるというのは有名な話だと思います。「ALL-TIME BEST」の番組ディレクターも、実はときどきそういうことをやってます。2曲続けて、クラブDJみたいにつなげてミックスしてきた曲をかけてみるとか。だから、曲と曲とのつながりがめちゃくちゃカッコいいんです。だって、バランスの全然違うレコードのものをデジタルに落として、それをさらっと持ってくるんですけど、これ、かなりのことをやってのけてます。番組ディレクターさんはひけらかさないですけど、stereo blogをお読みの方は音楽に理解のある方だと思いますので、そういったことをぜひお楽しみいただきたいですね。

――番組内ではピーター・バラカンさんが毎日選曲した曲に解説を加える「Message in the Music」というコーナーが挿入されるのですが、それを聴いて思うところはありますか?

LOVE:バラカンさんの深い考察や知識には毎回驚かされるし、本当に勉強になりますよね。世代も私からしたら大先輩の、「神」のような方。バラカンさんはラジオのエキスパートで音楽のエキスパートで、日本の……というイメージがあるのではないかと思いますが、彼はやっぱり海外で生まれ育っているので、視点がとても国際的。英語をすべて理解した上で日本人の私たちに伝えようとしてくださっている。私にできることは、その「神」の言葉を通訳すること。たとえば海外のネタとなると歴史的に反戦歌や環境問題をテーマにした曲があったりするわけですが、「じゃあ、日本の国防費はいくらなんだっけ?」とか「日本のCO2は世界で何位なんだ?」とか、そんなことを追加で調べて、リスナーのために訳すということですね。それで初めて、「神」の言葉を地におろすみたいなことをやっているような感覚です。それって実は音楽のようであって、人間的な時間です。音楽を通した人間的な時間。リスナーのみなさんにとっても、ただラジオから流れる音楽を楽しむというより、提案された問題について考える機会をもってもらうための時間と言えると思います。

――ミュージシャンとして音に乗せてメッセージを届けるということと、パーソナリティとして声でメッセージを届けるということは、LOVEさんにとってリンクする部分はあるのでしょうか?

LOVE:リンクする部分があるとすれば、「音楽を届ける」ということにはいろいろな角度があるから、“つくり手の思いを私なりに解釈して届けるということ”だと思います。たとえば、あるアーティストがこんな曲を書きました。でも、わざわざアーティスト自らが言葉を並べてそれを説明するというのは、場合によっては野暮なときがあるんですよね。でも曲を聞けば、言葉にされていない部分というものがある。私なりにつくり手目線で聴こえてくるものがあるので、それを翻訳してあげるということ。あるいは、「このアコギの音はスゴい!」とか「これは生じゃないとできないやつだ」とか、私なりにギタリストの立場から理解できる部分もあるんです。「時代によってテクニックが全く異なるよね~」なんて話を交えつつ、レコーディングの裏側とまではいかないまでも、同じギタリストの端くれとしてそれを翻訳してあげるということ。そういった意味で、私にとってラジオパーソナリティというのは、翻訳、通訳の仕事に近いと思っています。

――LOVEさんにとって「ラジオ愛」とは?

LOVE:音楽は世界を変えられないけど、部屋の空気を変えることはできる。そうするとそこにいる人の気分が変わって、その人がドアを開けて外に出たら、世界がひとつ変わる可能性がある」。シンディ・ローパーがこんなことを言ってくれました。その可能性を信じて、すごく遠回りだけど、一番最後の遠いところを見ながら目の前のこと、まずは1曲を選曲をして届けるのがラジオだと思います。ラジオパーソナリティの椅子に座るようになって1年目の頃に、東日本大震災が起きました。それでローカルラジオを通じて被災地の子ども達に向けた歌を歌ったりした時に、「水道・電気・ガス・ラジオ、これはインフラの一部です。ひねったら同じ時間に同じものが出る安心」ということが大事なんだと痛感しました。それをモチベーションに10年ちょっとやってきて、最近はこうも思っています。「企画ありき」じゃなくて「思いありき」でやったほうが絶対人には届くんだって。

たとえば、ある優しい曲を「今日はこういうニュースがありました」ってかけるのと、反戦歌をかける企画枠で「こういう反戦歌があります」とポンと置くのとでは、リアクションが全然違っていたりする。沁み方が変わってくるのは、リスナーから「こんな出来事があった」ってメッセージを添えたリクエストを受けとる時も同じです。主役は“思い”で、それを伝えるために、何かについて考えるきっかけとなるために、本当にいいアシストをしてくれるのがラジオの音楽。声高な言葉は必要ないんですよね。

1日や2日で何かが変わるというわけではないですけど、みんなが社会について考えられるテンションになること。遠回しなんですけど、音楽を使ってその土台をつくることがラジオの仕事だと思ってます。難しいんですけど、積み重ねていくことだと思います。

――最後にミュージシャン LOVE さんについてお聞きしたいんですが、最新曲「Someone To Love」が配信中ですね。この曲はどういうイメージで作られたのでしょうか?

LOVE:パンデミックを経て、先の予定が立てられない期間が2年くらい続きましたよね。その間に実感として思ったのが、初めてのことで何が正解かわからない、見たことも考えたことのないようなことが降ってきて。それをひどい世界だ、イヤな世界だと言うのは簡単ですけど、大変なのはみんな同じで、がんばるにしても理由が必要だ。その深さを実感して作った曲なんです。人間はそんなに器用じゃないから、やっぱり何か楽しみがないと毎日暮らせない。じゃあ何が代わりに生きる理由になるかというと、やっぱり誰かを愛すること。それはテーマとしては普遍的なことなんですけど、実感としてすごく思ったんですよね。安全と健康の根幹が揺らいでいる時代だったので、その根幹が揺らぐって人間にとってはすごく不安定ですよね。音楽でいうとドラムとベースなので、音的にもそのあたりを表現してがっつりとベースをメインであげてあります!

――確かにベースとドラムスが印象的な曲ですね。そういった背景を意識しながら聴いてみると、また違ったメッセージが浮かびあがってくる曲だなと思いました。ライヴなどの予定は?

LOVE:今、月イチのぺースで「ZOROME DAY LIVE(ゾロ目の日ライヴ)というアコースティックライブを行なっています。YouTubeで、レコーディングスタジオからの生配信です。これを素晴らしい音響で、素晴らしいエンジニアさんがやってくれているんです。完全にレコーディングと同じ環境なのでラフにやったら全部聴こえちゃうという、アーティストにとってはある意味恐ろしいモニター環境で(笑)。その「修行」のおかげで、このライヴはすごくよくなっています。ぜひみなさまにも聴いていただきたいなと思います。

――今後もミュージシャンとして、ラジオパーソナリティとして、ますますの活躍を期待しています!


「Someone To Love」LOVE
iTunes Store、Apple Music、Spotifyなどで好評配信中!
Official Video https://youtu.be/EuwzBwWqxVI

■LOVE オフィシャルサイト: https://love-sings.com/
■LOVE 公式twitter:www.twitter.com/loveyanen
■LOVE 公式instagram:www.imstagram.com/loveyanen_official

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