YoYo the “Pianoman” インタビュー

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1月号

メロディアスであり、リズミカルでもある。 テクニカルな一面があるかと思えば、ときにコミカルな側面も見せる。スウィングラップユニットSOFFet(ソッフェ)のメンバーとしても知られるYoYoが、ソロ活動 YoYo the “Pianoman” としてセカンドアルバム「O.G Magic O.G Music」をリリース。 静と動とがバランスよく織りなすジャズナンバーは、年の瀬の慌ただしさの中、ほんの少しでもほっとつける瞬間を提供してくれるようなアルバムだ。スウィング王子の「マジック」を堪能してみよう。

写真・高橋慎一 構成・編集部

※このインタビュー記事は、stereo 2022年1月号に掲載された記事ではページ数の都合でやむなくカットした部分を含む、取材記事の「完全版」です 

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思わず、「Yes!」 スウィング王子のマジックが炸裂する10曲

ピンクパンサーのアニメは面白いですよね。聴き馴染みがあって誰もが知っているナンバーですが、シンプルであ りつつ個性的なコード進行。その魅力 に気付いてライブで演奏したいなあ、 収録したいなあとずっと思っていまし た」と語るのは、はにかむ笑顔が印象的な YoYo the “Pianoman” だ。

「実は以前、高須クリニックの院長が横浜アリーナで行われたイベントへ出演された時に、コラボレーション参加したことがあったんです。そのときに(後述の)CMソングを YoYo the “Pianoman” ジャズコンボで演奏するという演出をしたのですが、高須院長がピンクパンサーに変装して指揮者になって、それに誘導されて僕らが演奏する というパフォーマンスをしたんです。大ウケでした(笑)。そのくらいみんなが知っていて、世代を超えた万人に愛されている。それでいて音楽も素晴らしいですよね。それで今回のアルバムに是非収録しようということになりました」

さる11月24日にリリースされたセカンドアルバム「O.G Magic O.G Music(オージー・マジック・オージー・ミュージック)は、その「ピンクパンサー」 を含む全10曲入りで、1曲目の「O.G Minor Swing」のクールでありながらも 軽快に疾走するナンバーから幕を開け、バラードあり、カヴァー曲ありとバラエティに富んだ内容に仕上がっている。

「リスナーとしてもパフォーマーとしても感じていたことは、音楽は魔法(マジック)だということ。ある音楽を好きになった瞬間、それまでの景色が違って見えるくらいに毎日が楽しくなったり、ときには落ち込んだ気持ちを吹き飛ばしてくれたり。言葉では説明のつかない不思議な力である『マジック』こそが音楽の魅力であり、重要な要素だと改めて思い、自分の音楽がそうでありたいという願いも込めて『マジック』という言葉を使いました。“Music is Magic”、これが今回のアルバムのキーワードです。

そして今回もタイトルに付いている「O.G」、これはダジャレみたいに「王子」をそのままローマ字表記したもので(笑)。ソロ活動のスタートを機に、自分の目標像『スウィング王子』という架空の人物を創りました。これを反転させた言葉が、ファーストアルバムのタイトル『O.G Swing(=スウィング王子)です。愛称とも言える「O.G」という言葉を今回も用いて、1作目と2作目両方で『YoYo the “Pianoman” の音はこれです』という名刺にしたかったんです。コロナの影響で誰もが先の見えない1年間だったかと思いますが、自分もレコーディングの延期を経て、今のすべてを出しきった渾身のアルバムが完成しました」口調は静かだが、確かな自信と確信に満ちていた。

今だからこそ伝えたい、米・ワシントン作詞作曲家協会受賞作品「線路に咲く花」

 アルバムは1曲目・2曲目と軽快な曲が続き、3曲目でスローナンバーの「線路に咲く花」へと続く。7inchアナログ盤としても先行リリースされたこの曲は、2019年度の米・ワシントン作詞作曲家協会(Songwriters’ Association of Washington)主催のコンペにおいて、世界各国からエントリーされた楽曲の中からインスト部門にて入賞(Honorable Mention 受賞)した楽曲だ。

「もともとは映像に音をつけるという作業から生まれた曲です。以前から”映像と音”の世界に興味を抱いていた中で、サウンドトラック制作の機会をいただき、その短編映画が『廃線』を題材にしたものでした。そこから広がるストーリーを自分なりに想像する中で「線路に咲く花」という曲タイトルが生まれました。『廃線』という言葉自体、あまり深く受け止めたことはなかったのですが、日本全国に多く残っている廃線跡。それまで使われていた線路がもう使われなくなってしまったという”錆びついた線路”を想像するだけでも、ストーリーが膨らみますよね。続いていた道が閉ざされてしまい、時が経つにつれ錆びついていく、そんな線路のほとりに咲く様々な表情の花をイメージし、音で表現する課題に取り組む中で生まれた曲です」と制作秘話を語る。

「偶然にも、今のタイミングでこの曲をリリースすることになったことにも意味を感じていて。コロナの影響で、今まであたり前にできていたことができなくなってしまった状況が、閉ざされるはずのない”線路”が閉ざされてしまう状況にも重ねることができて。この状況で、どんな花を咲かせることができるのだろう? という投げかけと、咲かせることへの希望のメッセージを届けられたら、と思っています。」その思いが届いたのか、前述の通りこの楽曲はワシントン作詞作曲家協会受賞作となる。「全世界からエントリーがあり曲数も多かったようですが、こういった海外のコンペにおいて、名もなき日本の音楽家の一作品を、平等な目線で選んでいただけたことが嬉しくて、音楽は国境を超えられることを改めて実感できたことが収穫でした」と嬉しそうに語っていた。

大胆なジャズアレンジで生まれ変わったカヴァー曲たち

4曲目以降はカヴァー曲が続く。カーペンターズを大胆にもジャズアレンジした「Rainy Days and Mondays」は、「名曲ですよね。高校生のときに友達と打ち込みでコピーして歌ったこともある思い出のナンバーを、今回はあえてピアノトリオで演奏しました。この名曲を名曲のまま、どううまくジャズアレンジするかに注力しましたが、完成したときには達成感を感じました」と解説。

クラシックの名曲にも挑戦している。E. サティ「ジムノペディ」だ。「クラシック×ジャズというコンセプトで、分かりやすくジャズアレンジしました。原曲のメロディーとコードを純粋に解読しつつ、『即興演奏をするとこういったメロディーが生まれる』ということを、まずはわかりやすく楽しんでもらいたいアレンジです。リズムやコード感をあまりにも崩しすぎると伝わらなくなる恐れもあるので、クラシックがジャズになる第一歩目を意識しました。実は、ファーストアルバム収録の『エリーゼのために』 もこのアプローチのアレンジです。聴き馴染みのある『ジムノペディ』を掘り起こしたタイミングが、コロナの外出自粛と重なったのですが、この曲のループするような悲しいメロディーが、落ち込んだ気持ちやどんよりとした空気を代弁してくれるようで、すごく心地良かったんです。さらに、ジャズの即興を加えてみた時のワクワクするような化け具合が衝撃的で、この時もまさに音楽の『マジック』を感じました」

伝統的なものにジャズアプローチをするという挑戦は止まらない。次はなんと阿波踊りの旋律をダンサブルにジャズ・アレンジした 「ズージャー阿波踊り」へと続く。「『ズージャー』という言葉も、ジャズを転じた言葉遊び。ジャズを敷居の高いものではなく、キャッチーに楽しんでもらいたい(笑)。過去に、阿波踊りの踊り手たちとセッションをしたのですが、生演奏をバックに踊ってもらうコラボは盛り上がりましたね。故郷の武蔵小金井では、幼い頃から夏になると必ず大音量で街に阿波踊りの音が響いていました。これをジャズセッションしたら面白そうだと思いついて。譜面を書いてメンバーに渡し演奏したときは、みんなで爆笑しました(笑)。和太鼓に聞こえるドラムを叩いてくれって、ジャズドラマーに頼む時点で、ある意味やりたい放題ですが、そんな事にも快く応じて楽しんでくれる仲間達、もう最高ですよね!」

自身の曲もセルフカヴァーしている。「父と娘のダンス」はファーストアルバムにも収録された曲だ。「より自由にストーリーを込めて演奏できるようになってきている実感があるのと、今回はエレピの音で演奏することで、また一味違うものに仕上げることができたと思います」と振り返る。

「My Sweet Little Town」は、コロナの影響が続く中で生まれた曲だという。地元の小金井市のアーティスト緊急支援事業が立ち上がり、それに参加して作った故郷を思ってのスウィングナンバーだ。 最後は「虹空」と書いて『ソラ』と読む、雄大でしっとりとしたバラード調の曲で締め括られる。全体を通して静と動がバランスよく混在しており、聴きごたえ充分。このアルバムにかけられたマジックで充実感に満たされることだろう。

これまでの活動と、これからの活動

これまでの活動を振り返ってみよう。幼少からピアノを習っていたことで音楽的な基礎を持ち合わせたところに、ヒップホップのジャンルにのめり込んだことがきっかけで、同級生でもあるGooF と一緒にのちにメジャーデビューを果たすSOFFet(ソッフェ)の結成へと繋がっていく。

そのSOFFet の名を一躍有名にしたと言っても過言ではない、現在も頻繁にオンエアされる冒頭の高須クリニックCMソングとしておなじみの「Beautiful Smile」。その当時のことを振り返って、「もともとは『Join the Party Tune!!』という曲をCMソングに起用してくださっていたんですが、『洋楽かと思った』と気に入ってくれたのがきっかけだったようです。その後、CM用に書き下ろす形で『Beautiful Smile』が誕生しました。最初の経緯から、この曲は歌メロもラップも全英詞で書くという新たなチャレンジの上、タイトルは『美しい笑顔』という高須クリニックさんに繋がるタイトルにしましたね!」

最後に、今後の活動を訊いてみた。「来年は、各地でリリースライブを計画中です。直近では、地元の武蔵小金井のホールで開催されるイベント”KIKOKA”にライブゲスト出演します。今回のアルバムは、各販売店の特典も豪華ですので、お洒落に仕上がったジャケットを手にとって楽しんでいただきたいですね」と、はにかむ笑顔で、そう答えてくれた。

アーティストプロフィール

YoYo the “Pianoman”
 作詞・作曲・編曲家。4 才からピアノを習い始め、15 才の時に独学で作詞・ 作曲を始める。19 才で渡米し、名門「バークリー音楽院」に入学。帰国後 の2003 年、SOFFet(ソッフェ)としてメジャーデビュー。アーティストとしての活動の傍ら、SMAPやCHEMISTRYへの詩曲提供をはじめ、近年では松下奈緒など数多くのアーティストへの編曲・サウンドプロデュース、 ピアノ演奏での参加などを精力的に行なっている。
 横浜アリーナで行われた「岡村隆史のオールナイト日本歌謡祭」では、 高須クリニック・高須克弥院長とコラボレーション出演。ホーン隊を引き連 れたYoYo the “Pianoman” Jazz Comboとして高須院長指揮の元、自身作編 曲・歌唱のCM楽曲「Beautiful Smile」(SOFFet)を10名編成のジャズコ ンボで生演奏し、パフォーマンス・演出面を務めた。
 最近では2021年9月末からスタートしたNHK Eテレ英語新番組「大西泰斗の英会話☆定番レシピ」の音楽を担当。

Web Site: https://soffet.info
Twitter: https://twitter.com/YoYo_SOFFet  @YoYo_SOFFet
Instagram: https://www.instagram.com/yoyo_soffet/?hl=ja  @yoyo_soffet
Facebook: https://www.facebook.com/YoYothePianoman

YoYo the “Pianoman” 『O.G Magic O.G Music』
価格:税込3,300円 (税抜3,000円+税)
仕様:CD/ 配信
品番:PWT91  
レーベル:Playwright

収録曲
01 O.G Minor Swing
02 O.G Party
03 線路に咲く花
04 Rainy Days and Mondays (Carpenters cover)
05 ピンクパンサー (Henry Mancini cover)
06 ジムノペディ (E.サティ cover)
07 ズージャー阿波踊り (cover)
08 父と娘のダンス~ Electric Piano ver.
09 My Sweet Little Town
10 虹空~Sora~

ライブ情報(2021年12月現在)

2022年1月16日(日) KIKOKA KOGANEI NEW YEAR CONCERT 2022

会場:宮地楽器ホール(大ホール)
〒184-0004 東京都小金井市本町6丁目14-45
ゲスト出演 : YoYo the “Pianoman”
開場:14:30 / 開演:15:00
全席自由:¥3,000(税込)
問合先 : KIKOKA こがねい事務局(イテル)
TEL : 042-301-8160

2022年3月26日(土) YoYo the “Pianoman” 2nd Album 『O.G Magic O.G Music』リリース記念ライブ

会場:大阪・Azul Terrace(梅田)
※年内より先行受付がスタートするとのこと。詳細情報はホームページを参照。

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