写真・高橋慎一 文・編集部
それは、昔からオーディオを売っていた人間がふと抱いた、ある疑問からはじまった
ハードオフオーディオサロン発祥の地である新潟紫竹山店の店長を務める番場氏は、お店の立ち上げから関わっているキーパーソンだ。ご存知の方も多いかもしれないが、ハードオフの前身は「サウンド北越」というオーディオショップで、現在の店舗はもともとサウンド北越の紫竹山店だった。転機が訪れたのは1993年。オーディオをとりまく時代やビジネス環境の変化の中で、1階はブックオフ、2階はハードオフとして生まれ変わることとなった。その後、番場店長は本部のフランチャイズ関連の仕事に携わることになり、現場を丸10年ほど離れた。しかし、久しぶりに戻るとなんともいえない違和感を覚えたという。オーディオ自体が下火になっているばかりでなく、「機器が壊れているわけではないんだけど、なんだか聴いてみないと不安で買えそうもなくて・・・・・・」というお客様からの声を聞いて、これでいいのかという疑問を抱いたという。
それからしっかりと機器をいい状態に戻してあげたとき、「昔の機器だけど、やっぱりいいものだったんだね」と足を止めてくれる人が増え、売上が3年で倍増。それを見ていた創業者でもある会長が、オーディオに理解があったことも幸いして「もう一度オーディオの専門店を作るぞ!」と声をかけ、それがきっかけで2014年5月1日に「ハードオフオーディオサロン」が誕生することとなった。さらにその快進撃は、2年後の東京吉祥寺店のオープンと続いていくこととなる。
新潟紫竹山店の店舗は駐車場完備で、店内は広々としている。1階はオーディオ機器、2階の右奥はジャンク品、左側には中古CD・LPの販売コーナーとなっている。ハードとソフト、どちらも充実している貴重なお店だ。店内のレイアウトに関しては会長のアイデアが豊富に活かされているが、レジ前に貼られているシフト表は今の社長のアイデアだという。客層に合わせてあえて「シニアスタッフ」と表記しているが、顔が見えるのは安心だ。これは病院の主治医のシフト表の掲示と同じで、相談したいスタッフがいつお店にいるのかお客さんも分かるようにという配慮だそうだ。しかも、そのシニアスタッフは大手メーカーからリタイヤしたエンジニアで、腕は確かだ。機器の価値も分かっている。まさに、オーディオドクターとでも言うべき頼れる存在だ。
修理は目的ではなく手段である
売られている機器の状態も非常にいい。手間も時間もコストもかかっているのだろうが、その代わり丁寧な仕事をしているのが分かる。聞けば、実際中古で買い取ってからそのまま使えるものは少なく、ちゃんと直さないと店頭に出せないものが多いので、「直すのが目的ではなくて、往年の名機を甦らせる」という思いで修理にあたっているという。
そう、修理は目的でなく、あくまで手段。往年の名機を甦らせて、大切に長く使い続けていただくために復活させるのだ。それがハードオフオーディオサロンの使命である。そのために熟練の技を持つシニアのエンジニアを店舗に常駐させている。それゆえに価格だけを見て「中古だろ? なんでこんな高いんだ」という反応の方もいる一方で、「こんなに古いのに、なんでこんなに綺麗なんだ?」と驚く方もいるという。その答えは、熟練のエンジニアによるリペア哲学と情熱の結果だったのだ。
オーバーホールをする理由
ハードオフオーディオサロンでは、他店ではなかなかやっていない機器のオーバーホールを行なっている。コストは確実にかかるので、修理代と思うと確かに高いかもしれない。しかし、新品を買うと思えば安いものだと思えるくらい、それを行なうことで華々しく甦る。「古いものなのにどうしてこんなにいい音で鳴るんだ」と今までの中古品のイメージで聞く方は不思議に思うかもしれない。「50年前のスピーカーであっても、オーバーホールをすることで本来の性能を取り戻し、活き活きとしたいい音で鳴ってくれるんです」と番場店長は語る。
機器は、開けてみると信号の通り道がサビだらけということも多い。信号が少しでも通れば音は出るので、壊れているわけではない。しかし、ある程度大きな音を出さなければいい音にならない。小さな音では響かない。エンジニアに言わせれば、電気の抵抗値まで変わっているからちゃんとした音ではない状態になっていることがあるそうだ。
かつて、あるヴィンテージ機器のコンデンサーの容量を測り、規定値を確認したものでオーバーホールしてみたのだが、どうしたことかいい音だと思えなかったという。しかし、試しに新品のコンデンサーに変えてみたら、まるで違ってよく聴こえた。それはもとのコンデンサーが悪いということではなく、本来の性能を出せていなかったのだ。かつては間違いなく素晴らしい音で鳴っていた。しかし、サビや経年劣化によって本来の性能を失っていたのだ。料理で例えるなら、出汁が出きってしまって旨味がなにもないような素材を使い続けているような状態だ。ハードオフオーディオサロンでは、可能な限り本来の性能が出せるよう後述のリペアセンターを備えてオーバーホールを行なっている。
もはやオーディオファンの巡礼地!?
お店の立地も新潟バイパスのインターチェンジから近くということもり、車でのアクセスも抜群だ。ハードオフオーディオサロンの一号店ということも相まってか、全国からオーディオファンが集まってくるようで、関東や東北といった遠方からわざわざ来店する人も絶えない。先日は、福島県内のとある市の公民館スタッフが「人の集まりを企画しているのだが、女性は生け花などいろいろ募集すれば集まるんですよね。ところが、男性はテーマがないんですよ。それでオーディオはどうかという話になりまして」ということで視察に来たということもあったそうだ。さすが一号店には、さまざまな目的を持って人が集まってくるものだ。
コロナの影響はネットでカバー
実店舗を経営するにあたり、ハードオフオーディオサロンとしてもコロナの影響を受けなかったわけではなかった。年間の買い取り額が一番多かったのは2019年だったが、昨年あたりから「こんなにたくさんの商品があるわけだから、ネットに載せてみたらどうか」ということでECサイト『オフモール』の稼働を本格化させた。そこにコロナ禍が来てしまったわけだが、タイミングよくネットの方で商品が売れるようになったそうだ。「(コロナ禍の時期は)人は動きませんでしたが、ネットでは動きましたね」と番場店長は振り返っていた。
「オフモール」 https://netmall.hardoff.co.jp/shop/101001/
店舗から至近の場所に開設されたリペアセンター
以前は店内で修理を行なっていたが、手狭になったので2017年にリペアセンターを作ることになった。「ここには全国のハードオフ店舗から、専門的な修理を必要とする製品が送られてきます。製品とその状態にもよりますが、エンジニアがひとつひとつ確認し、メンテナンスを施し、甦らせて各店に送り届けています。修理が必要な故障以外も、現時点で異常はなくても劣化しているであろう箇所は点検整備して、長くお使いいただけるようなメンテナンスを心がけています」と笠原センター長が話してくれた。
名機の引き継ぎ役
買ったものはなかなか手放せないものだ。思い入れのあるものや高額だったものなら、なおさらだろう。しかし、それらの機器をどうしたらよいだろうかと悩んだら、価値の分かるところに引き取ってもらうことを手段のひとつとして是非検討してほしい。ハードオフオーディオサロンでは、出張買い取りも行なう傍ら、そういった相談にも乗っているので、まずは気軽に連絡してみるのもいいかもしれない。ご自慢の名機は、必ずや次の誰かの耳を豊かにすることだろう。ハードオフオーディオサロンは、そんな名機の引き継ぎ役を自負している。
ハードオフオーディオサロンのお店に行ってみよう!
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ハードオフオーディオサロン新潟紫竹山店・東京吉祥寺店の店舗でスタッフに「stereoの記事を読んだ」と仰っていただいた方に、今回取材した新潟紫竹山店の情報も掲載されているstereo 編ONTOMO MOOK「オーディオ『お助け』ハンドブック【コンポのトラブル対処編】」をプレゼント!(在庫数に達し次第、プレゼントは終了とさせていただきます)
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リユース商品ではありませんが、ラックスマン製真空管フォノイコライザー・キット『LXV-OT10』および ラックスマン製デジタルアンプ・キット『LXA-OT4』も試聴可能です!
店舗情報
ハードオフオーディオサロン紫竹山店
●住所:〒950-0914 新潟県新潟市中央区紫竹山1-10-23
●電話番号:025-247-4375
●営業時間:10:00~20:00
●定休日:年中無休
●アクセス:新潟バイパス国道8号線「新潟紫竹山I.C」より車で約10分、「弁天I.C」または「桜木I.C」よりそれぞれ車で約5分。最寄りの高速道路I.Cは磐越自動車道「新潟中央I.C」または日本海東北自動車道「新潟亀田I.C」、それぞれ車で約15分。JR新潟駅南口より車で約10分。駐車場27台完備。
●ホームページ: https://www.hardoff.co.jp/shop/detail/?p=101001
●通販サイト「オフモール」 https://netmall.hardoff.co.jp/shop/101001/
※感染症拡大防止のため、ご来店の際にはマスクを着用の上、少しでも体調が優れない場合にはご来店をお控えいただきますようご協力をお願いいたします。
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