国内でも珍しい木工加工用大型機械が充実! 指導員常駐で本格的なクラフトに挑戦できる
東京、名古屋、そして富山からでも車で約三時間という好立地にある信州の朝日村は、雄大な飛騨の山麓に位置する自然豊かな村だ。同村が運営する「クラフト体験館」は、その豊かな山林から伐採される良質な木材をもとに、初心者や子どもでも気軽に木工作を体験できる施設として35年前に竣工し、地元民をはじめ多くのクラフトファンに利用されている。
「私もリタイアしてから、クラフト体験館には長くお世話になっていますよ」と笑顔で出迎えてくれたのは同施設内で結成されたクラフトの「友の会」会長の丸山さん。マークオーディオ日本販売代理店として本誌でもおなじみのフィディリティムサウンドが村に工房を開設したことをきっかけにスピーカー作りにはまり、施設内で作品を製作・発表しているという。
館内ではさまざまな木工ができるよう、小型の工具からプロ用の大型機械まで多数取り揃えている。家具や小物が中心だがワークショップメニューも用意されており、初心者や子どもでも気軽に工作に親しむことができる。
さて、ここで作られるスピーカーだが、製品かと見紛うばかりの完成度で驚かされる。音についてはフィディリティムサウンドのスタッフがアドバイスをしているようだが、加工や仕上げに関してはさすが木を知り尽くした人たちだと一も二もなく脱帽するほかない。「いやあ、素人の趣味で」と謙遜するが、「友の会」メンバーがそれぞれこれまで培ってきた技術をいかんなく発揮して作品作りにいそしんでいるのが伝わってくる。
なお、施設には木材の持ち込みが原則だが、固い木や機械で処理できない木は持ち込み禁止となっている。事前に館に問い合わせておくとよいだろう。自宅で木を加工しようとすると、どうしても音や木くず、そして加工する工具の精度の問題が出てくる。どうやらその問題はここで解決できそうだ。なにより自然に囲まれながら木工を楽しむのは気分もよく、より作業に集中できることだろう。実際に来なければ体験できない贅沢な時間が、ここには流れていた。
朝日村クラフト体験館
〒390-1104 長野県東筑摩郡朝日村古見314
開館時間:9:00~17:00
休館日:毎週火・水曜日 および 年末年始
TEL:0263-99-2804
施設使用料:520円(半日)、1,040円(1日)
※ 材料費・大型機械使用料別
朝日村で加工されたスピーカーが、ふるさと納税の返礼品として登録されています
クラフト体験館の取材終了後、「朝日村の役場がすごいから一度見ていただきたいんです」とフィディリティウムサウンド代表中島氏に勧められるがままに足を運んでみたが、実際すごかった。朝日村という地名は「松本平で一番早く朝日を浴びる」ことが由来とのことだが、たっぷりの日差しと豊富な水の恵みを受けて育ったカラマツは特産品で、そのカラマツと村民から募った古木を有効活用して約5年前に竣工したのが現庁舎だ。木造だが最新技術と伝統建築技術が各所に取り入れられており、特に壁柱構造による無柱空間を採用した明るく開放的な窓口は、バリアフリーで使いやすいと村民からも好評だという。
「フィディリティムサウンドさんが村に工房を構えてから、私たちにとっても刺激になっています」という越川副村長は、村の木材をもっとアピールできないかと考えていたところにクラフト体験館でマークオーディオの音と出会い、これならふるさと納税の返礼品として使えるのではないかとひらめいたという。既に『あられ組みスピーカー Micro NC4』としてふるさと納税の返礼品に登録されているので、調べてみるといいだろう。「まずは実際に村に来て、朝日村の魅力を知ってもらいたいですね」と朝日のようにまぶしい笑顔で語ってくれた。
朝日村役場
〒390-1188 長野県東筑摩郡朝日村古見1555番地1
開庁時間:8:30~17:15
開庁日:月曜日から金曜日(祝日・年末年始を除く。土曜日・日曜日は閉庁)
TEL:0263-99-2001
※この記事は stereo2023年8月号掲載の特集記事「夏休みに親子で行きたい! オーディオを感じさせるミュージアム」を当ブログ用に再編集したものです