2018年12月19日を応募締切日として行なわれた、第9回目の月刊ステレオ主催・自作スピーカーコンテスト。今回は昨年7月に弊社より発売されたMOOK「これならできる特選スピーカーユニット マークオーディオ編」の付録スピーカーユニットというレギュレーションの下、「一般部門」と「匠部門」あわせて205通のご応募をいただきました。まことにありがとうございました。
書類による一次審査と、書類&試聴による二次審査を経て2月23日に開催された作品展示&試聴会・授賞式の詳細レポートは Stereo 4月号内の記事をご高覧いただくとして、まずは見事受賞を果たした全作品をここに紹介! 作品展示&試聴会・授賞式にご来場の皆さまの投票によって決定した「来場者が選ぶ№1スピーカー」第1位作品も発表します。
審査員(敬称略)
写真左より、岩出和美(本誌編集部顧問)・生形三郎・石田善之・中島紀夫(フィディリティムサウンド)・須藤一郎
作品規定
2018年7月19日発売のMOOK「これならできる 特選スピーカーユニット マークオーディオ編」の付録であるマークオーディオ製8㎝フルレンジ・スピーカーユニットのみを使用。また、エンクロージュアの高さ・幅・奥行きそれぞれが100㎝以下、総重量30kg以下のもの。
一般部門 第1位
北山真一さん作「ひびき」
オールヒノキ材・五角形加工+カシュー塗料で箱鳴りを味方に。低音獲得を狙う外付け型ネットワークで鬼に金棒。
「工作精度が高く丹念な仕上げが美しい。信号系にも補正を施し8㎝ユニットとは思えない低域の伸びと厚みである。ユニットに鉛のデッドマスを取り付けるなど工夫をし、雑味なく滑らかな音は、特にオーケストラの弦パートが印象的。補正回路無しでもストレートな高い質感ながら、それを通すことで音楽にスケール感とダイナミズムが加わる」(石田)
一般部門 第2位
東山宗一さん作「セブルバ」
発送の原点はスターウォーズ。デザイン性と音質の両得を測るキューブ連結機。
「『スターウォーズ』の惑星タトゥイーンのレーサー「セブルバ」をイメージしたというユニークなデザインには、開放感に優れた出音の雰囲気が重畳するからじつに面白い。軽快な躍動感もハイスピードで楽しい。抜けが良いコーラスの響きの美しさや、心地よい低域の支えも印象的である」(須藤)
一般部門 第3位
塚田郁男さん作「スフィンクス」
点音源で表現される音像をバックロードホーンの低音が下支え。中に仕込んだ大谷石もミソ。
「石像をモチーフとしたユーモラスな作品。モティーフとして猫を扱うだけでなく、優れた音場形成に寄与するヘッド部分、そして、よく伸びた低域を実現する音道が格納された胴体部分など、形状が音質にも直結している点が秀逸だ」(生形)
ステレオ賞
澤 佑亮さん & 高柳祐希さん作「Hexahorn」
大工では困難な形状に3Dプリンターで挑戦! 六角形がテーマのバックロードホーン型システム。
「クラフトも時代が変わりつつある。鋸や鉋からいまや、CADや3Dプリンターである。本機もその典型。複雑なバックロードホーンをコンパクにまとめてある。そのサウンドは、BLホーンのクセを感じさせないフレッシュで、音場感溢れるもの。“鳥型”という言葉を知らない世代がつくった逸品だ」(岩出)
マークオーディオ賞
山田哲也さん作「フラゴン・オマージュ」
2次元CADから3Dプリンターまで。最新系技術で表現されたオマージュ。マークオーディオの祖に捧ぐ・・・・・・
「ジョーダン・フラゴンのデザインをみて、さてどんな音だろうと音出しすると、かなり本格的でした。その違和感こそフラゴンと共通したところか。音域を欲張ってはいませんが、何度も調整したバランスの良さが心地よい。軽すぎてケーブルに負けますが(笑)」(中島)
フィディリティムサウンド賞 作品展示&試聴会・授賞式の来場者投票による 「来場者が選ぶ№1スピーカー」 (W受賞)
尾崎 彰さん作「OJJ SOUND 2018エントリーMODEL」
治具製作、スプルース材の曲げ成形からクリアブラック塗装、鏡面仕上げまで丁寧な仕事ぶりが光る逸品。
「何よりも美しい。治具の数や膨大なプロセスなど、普通ではゴールにたどり着けないレベルの努力ですね。じつは試聴室に持ち帰ってじっくり聴きましたが、やはり材質仕上げの良さや細かい調整に起因する繊細な再生音がしっかり感じとれました。200Hz近辺の落ち込み以外はプロ以上です」(中島)
匠部門 テクニカルマスター賞
海老沢 正さん作「Cyndrome II(振動労無 Ver.2)」
自宅でクラシックが聴けるシステムを! ダブルバスレフ型本体を支える土台は、磁石の反発を利用した免震構造。
「低音感、スケール感が見事。もっともワイドレンジで豊かな低音感が得られていた。注目のポイントは、放出される低音を360度方向に拡散して豊かな低音感を得るために、音を濁したりする2k~3kHz付近の成分を吸音ボックスで処理してしまおうという考え方。システム全体を振動から回避させようという反動キャンセラーも機能している」(石田)