【この夏、家族で行こう!編集部広報おすすめ施設①】 [秋田]TDK歴史みらい館

その他

TDKの「これまで」と「これから」を同時に体験できる
無料の企業ミュージアム

今、少しだけまわりを見渡して何があるかを確認してほしい。本誌読者なら、スピーカーやヘッドフォンがきっとどこかにあることだろう。リビングにはテレビやゲーム機、パソコン、さらには電子レンジや冷蔵庫といった家電もあるだろう。外に出れば自動車、自動販売機といった今や生活になくてはならない必需品が、そこに当たり前のようにあるはずだ。

それらのものに共通して使われているのが「フェライト」と呼ばれる日本生まれの磁性材料だ。秋田県仁賀保町(現にかほ市)出身の齋藤憲三氏は、フェライトの工業化を目指して東京電気化学工業株式会社を設立した。そう、東京(T)電気(D)化学工業(K)、現在のTDKである。

その後のTDKが、日本の発展や私たちの生活向上のために非常に重要な役割を果たした四大イノベーション⦅フェライトコア、磁気テープ、積層チップ部品、磁気ヘッド⦆をもたらすこととなったのは、ご存知の通りだろう。

入口の外観。もとも創業期からの製造拠点であった平沢工場の敷地内に設置されていたミュージアムだったが、創業80周年を機にリニューアルされた
おいはペッパーだっす!」と、秋田弁で館内説明をはじめるペッパー。秋田弁なので聞き取りが難しいが、何を言いたいのかは不思議と伝わってくる

当館は大きく「歴史」と「みらい」のふたつのゾーンに分けられており、「歴史」ゾーンでは磁性の歴史や、先述の齋藤氏がフェライトと出会うまでのストーリー、そしてTDKのこれまでの歴史をパネルや展示物を交えながら分かりやすく知ることができる。その展示物の中には、スマートホンの大先輩である黒電話や、OB寄贈によるオープンリールデッキなどもあり、それらは実際に体験することもできる。親子で「懐かしい!」「昔はこんな形だったんだ!」と、コミュニケーションを取りながら楽しめるのが嬉しい。

最初は「磁性の歴史」と「創業コーナー」。フェライトとTDK、そして今いる「にかほ市」との切っても切れない関係について分かりやすく説明してある
TDKがこれまで社会に大きなインパクトを与えたと言われる「4大イノベーション(フェライトコア・磁気テープ・積層チップ部品・磁気ヘッド)」とは何か、実物を展示しながらその歴史を知ることができる。一部では見るだけでなく、実際に実物に触れて体験できるコーナーも用意されている
TDKといえばカセットテープ。TDKは世界ではじめて音楽用カセットテープを開発した会社だ。大きな壁一面に展示されているカセットテープやビデオテープは、とにかく圧巻のひと言。これだけでも見に来る価値がある。

「みらい」ゾーンの主役は子どもだ。同社が目指す今後のテクノロジーがどのようなものになっていくのか、疑似体験することができる。CGやAIを駆使した常設展示物は、ちょっとしたアトラクション感覚で最先端技術に触れることができる。

「みらいラボ」のコーナーではスタッフが作成した3Dプリンタの作品や、エレクトロニクス体験教室で作成したキット等が展示されている。身近に科学や工作に触れて体験することができる
「電気と磁気って、どういう関係があるの?」を分かりやすく理解するための体験キット
ウルトラテクノロジスト集団「チームラボ」とコラボした体験型シアター。「磁性」を、宇宙・地球・電子という3つのモードでそれぞれアーティスティックに表現している。「磁場とか電子って言われてもちょっとよく分からなかったよ……」という場合でも心配ご無用。それが一体どういうものなのかを直感的に体験できるゾーンとなっている

これほどまでに内容が充実していながら、入館料はなんと無料。東京などからの場合は多少遠いかもしれないが、それを差し引いたとしても家族で充分に楽しむことができる。オーディオ好きならば一度は訪れてみたい企業ミュージアムのひとつだ。 

当館限定ガチャガチャがあったのでやってみたら、TDK初のカセットテープである「シンクロカセット」(1966年)の精工なミニチュアキーホルダーが出てきた。この他にも2種類ある

なお、当館には「TDKゲストハウス」というレストランが併設されている。地元の新鮮な食材を堪能できるが、営業時間はランチタイムのみ(ラストオーダー午後二時まで)なので、あまりに楽しくて時間を忘れてしまうと、つい食事の時間を逃すことになってしまう。楽しみすぎには注意が必要だ。


TDK歴史みらい館
〒018-0402 秋田県にかほ市平沢字画書面15
TEL:0184-35-6580  FAX:0184-35-6853
開館時間:10:00~18:00(最終入館時間:17:30)
休館日:日曜日・月曜日・館の定める休日
入館料:無料

アクセス:JR羽越本線「仁賀保」駅から徒歩約10分(タクシーで約3分)、日本海東北自動車道「仁賀保」ICより車で約15分、駐車場完備

※この記事は stereo2023年7月号掲載の特集記事「夏休みに親子で行きたい! オーディオを感じさせるミュージアム」を当ブログ再編集したものです

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