JRC訪問記 ~小さなデバイスがもたらす大きな変化!~

雲ひとつない気持ちの良い秋空に「JRC」のロゴが誇らしげに映える。

自動車やオーディオ機器の見えない場所に使用されている半導体デバイス。そして、おそらくお使いの機器でも必ずやお世話になっているであろう半導体デバイスを製造しているのが、ここ 新日本無線(JRC)だ。ステレオ誌の付録としても好評だった USB-DAC OT2 や、デジタルアンプOT1、OT3 の基板にも、実はしっかりとJRCの名が刻まれたオペアンプが搭載されている。

オーディオの世界でJRCといえば、オペアンプ。オペアンプといえばJRC。しかしながら、オペアンプがどのような場所で、どのようなコンセプトで作られているのかを知る機会は少ない。今回、同社の川越製作所に訪問し、担当者より直々にオペアンプについて学ぶ機会を得た。知られざる、オペアンプの世界とは・・・・・・。


工場に入ると、JRCのフラグシップモデルのオペアンプとなる MUSES が我々を出迎えてくれた。

新日本無線(JRC)のオペアンプといえば、「MUSES(ミューズ)」というブランド名をご存知の方も多いだろう。同社の資料によると、MUSESとは、高音質を追求したオーディオ用半導体デバイスとしてJRCが立ち上げたブランドで、「高音質」と言っても、良い音を「作る」のではなく、デバイスを通すことによるクオリティの劣化を最小限にするという考えのもと、「高品位な音の追究」「色づけの無い、誇張の無い、損失の無い、原音に忠実な音の追求」「数値では表しきれない、感性に響く音の追求」をコンセプトに生み出された製品だ。JRCオーディオ製品のフラグシップモデルでもあり、シンボルでもある商品はF1のような位置付けであるという。

同社のオペアンプは、大きく分けて次の3つに分類される。

 エントリーモデル
NJM8801」「NJM8901」「NJM4582」があり、MUSESで培った高音質化技術をより量産性の高い技術に応用することで高音質化と、さらなるコスト低減を実現しているモデル。

量産対応モデル
MUSES8820」「MUSES8920」「MUSES8832」が該当。これはフラグシップモデルの開発コンセプトを踏襲しつつも、材料の最適化を図ることで生産能力向上とコスト低減を実現したモデル。

フラグシップモデル
MUSES01」「MUSES02」「MUSES03」で、従来では材料・サイズ・生産性といった音質向上の障壁を意識せずに音質を追求して開発した半導体デバイスだ。


MUSES03を通して鳴らす音に思わず笑みがこぼれる。写真左から電子デバイス事業部 北田氏、三添専門部長、稲垣課長、西田課長、ステレオ編集長と、杉本専門課長。

製品概要を理解したところで、次に我々が通されたのは今年夏に完成したばかりだというオーディオ試聴ルーム。オーディオに情熱を持つ社員が試行錯誤の上で作り上げたという部屋で、試しに手を叩いてみても残響音があまりないデッドな部屋となっている。これは、一般家庭でも十分鳴らせるようにあえてデッドな環境にして、それでいていかに楽しめる音を出せるかというこだわりによるものだという。

オーディオルームの奥には、CDプレーヤとDAC、そしてオーディオ用半導体メーカーの知恵と技術が結集したアンプが鎮座。このアンプに、MUSESが使用されている。残念ながらこのアンプには企業秘密が含まれているため、写真撮影はできなかったので悪しからずご容赦いただきたい。さあ、この小さなオペアンプの違いでどれだけの音の違いが出るのだろうか。なるべくジャンルが偏らないよう、ジャズ、クラッシク、洋楽と宇多田ヒカルで試聴する。

まずはオーディオ用オペアンプの定番であるNJM4580で試聴。これだけでも十分聴けるレベルではある。次に、MUSES03を通して音を出す。

驚愕。

最初の第一声からまるで違う。音の厚みが増し、表現力が豊かになった。編集長が聴いたオールディーズの洋楽も「この盤、こんなに音良かったっけ?」との感想が出るほど分かりやすい違いだった。数千円の部品でここまで音の違いが出てしまうから、オーディオは奥深くて面白い。

▼MUSESに関する詳細、製品機能、製品データは下記を参照されたい
MUSES 特設Webサイト https://www.njr.co.jp/products/MUSES/index.html

今回、オーディオにかける男たちの並々ならぬ努力と妥協しない姿勢が、この小さな半導体デバイスに凝縮されていることが分かった。MUSESの名は、ギリシア神話に登場する女神の名に由来し、それはまさに音楽・舞踏といった知性と感性の神々だという。「神は細部に宿る」と言うが、まさしくこのデバイスの中に、女神の知性と感性とが込められているかのようで、その明朗な響きは聴いていて非常に心地良かった。

なお、MUSESシリーズは下記サイトより入手可能だ。オペアンプに興味のある方は、是非ともMUSESシリーズのオペアンプを色々と試して楽しんでいただきたい。

MUSES 正規取扱い店「秋月電子通商」 http://akizukidenshi.com/catalog/
正規国内販売代理店・特約店一覧 https://www.njr.co.jp/sales/

新日本無線ホームページ https://www.njr.co.jp/